(ネタバレ)映画『いつかの君にもわかること』の感想〜たんなるお涙頂戴ではない。生と死に関して考えさせられる映画

いつかの君にもわかること 映画・ドラマ・漫画感想




こんにちは!タカヒロです(@kyohirofuku

王様のブランチで紹介されていた映画『いつかの君にもわかること』を鑑賞してきた。私は2児の子供の子育て真っ最中であり充実、疲弊する毎日を送っている。そんな私にどストレートのストーリーがこの映画だった。

(本記事は、ネタバレありです。ご注意ください。)

『いつかの君にもわかること』のザックリとしたあらすじ

窓の清掃員の33歳の父親には4歳の男の子の子供がいる。妻は子供が生まれて間も無く別れて他国へ。この父親が物語の主人公だ。

父親は病を患っており、余命わずか。そこで自分の死後、息子を育てる里親を探す。役所の職員から紹介される里親と会っていく。

簡単だと思っていた里親選び。自分の決断が誤っていたら息子に迷惑がかかる。そう思うとなかなか里親を決められない。

限りある命の期限が迫ってくる。

主人公が下した決断は?

『いつかの君にもわかること』の感想

生と死

自分の死をいかにして子供に伝えるのか?伝えられるのか?
また死を前に自分はどう生きるのか?

大切な人の「死」を体験した人との話や息子との対話の中から、生と死に関して考えさせられる場面が何度も登場する。

人は死ぬと土に帰るのではない、空気になるのだ。

死ぬということは、体はここにあるけれど魂は空に飛んでいった風船のようなものだ。

私が死んだら今みたいに声が聞こえなくなるかもしれない、でも君の心の中にいるから話しかけて欲しい。

私はいつだって君のそばにいる。時には葡萄の味となり君のそばにいるかもしれない。

日々の子育てで忙殺されている私だが、死は皆に平等に訪れる。そんな遠い先の話に思いを馳せ、考え込んでしまった。

そしていかに今の時間が特別で輝いているものなのかを再認識した。

最近、心労のためか体重が減り健康面での不安もある私。

自分の体調に気を配っていきたいなと。

人を選ぶということの難しさ

本作では、何組もの里親が出てくる。

典型的な良い家庭、養子を何人も受け入れいる家庭、自分の子供を授かることのできない夫婦、女性。

それぞれ事情を抱えており、それぞれの理由で主人公の息子を養子として受け入れようとしてくれている。

正解はない。ここで主人公が誰を選ぶのか?が物語のクライマックスだ。

主人公が苦悩する姿を見ると、本当に人を選ぶのは難しいと感じる。

表面的には条件が整っていても何か合わない。

条件は整っていないが、何か惹かれるものがある。

物語では、なぜ主人公があの人(あえて伏せてます)を選んだのかは明らかではないが、息子に対して「何書いてるの?」と言い、息子が「トラックに石を乗っけてるの」というやりとりがキーになったと考える。

数ある里親の中で、唯一息子の生活の中に影響が出ていたのがあの人だったからだ。そしてあの人は「養子が来ること自体が、私にとってはトルフィーのようなもの」だとも言っていた。

苦しい経験を人生でしてきたからこそ、養子の大切さがわかるし愛情を注げる。苦しい経験が人の愛に繋がっているんだなと。

決して、完璧ではないし家の整理もできていなかったけど、人間味ある面裏のない性格、自分の素性も全て明かしたあの人を選んだのは納得できる。

生きるためには働かなくてはならない

主人公は死ぬ前まで、窓清掃の仕事を続ける。体が動かなくなるまで必死に働く姿に胸打たれた。

生きるためには働かなくてはならない。

それは息子を育てるためにも必要だ。

そして働くことは楽ではない。時には嫌なやつに非情な言葉をかけられることもある、それも含めて働くということだ。

死が間近に迫っているからこそ、働く姿がよりいっそう輝いて見えた。

息子とのリアルな生活が涙を誘う

聞き分けの良い息子として描くだけでなく、時には父親に反発する。

そういうリアリティーのあるシーンが物語に深みを与えていた。

というより、子育てをしている身としてはめちゃくちゃ共感できた。

そんな生活すら、主人公にとっては特別な時間だったのだ。

風景の描写が美しい=生と死を感じる

物語に出てくる風景の描写に生と死の意味合いを感じられずにはいられなかった。

・主人公が息子と歩く都会の川

・主人公が泣く歩道橋

・里親に会いに行く途中の自然

三途の川、人は死ぬと自然にかえる

その美しい風景をこの映画の文脈で見ると「生も死も自然なこと」という当たり前のことを最認識させられる。

ラストシーンが脳裏に焼き付いている

ラストシーンで選んだ里親の元に行き、手をつないだ子供が父親を見上げる。

そのシーンが脳裏から離れない。。し思い出すたびに涙が出てくる。

死ぬのも怖いが、大切な子供と離れるのはもっと怖い。

観るかどうか悩んだが、観てよかった

正直、プライベートな時間がほぼないので観るかどうか悩んだが映画を観てよかった。

楽しい、悲しい、泣いたを超えた体験をさせてもらったからだ。

これが映画ならではの醍醐味だなと改めて感じた。

(おわり)

『いつかの君にもわかること』(2023年2月)★★★★★@kinoシネマみなとみらい

★★★★★ 近年有数の名作
★★★★☆ 見逃せない
★★★☆☆ 楽しめる
★★☆☆☆ それなりに楽しめる
★☆☆☆☆ オススメしない

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